芸術祭ツアー2016 レポート(後編)

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Nadegata Instant Party 《Well, come on stage!》
舞台公演『てしましましま、あしがらがらがら』(豊島)

ノマドプロダクション会員向けの企画として、〈瀬戸内国際芸術祭2016〉など瀬戸内のアートスポットをめぐる4泊5日のツアーを行いました!(レポート前編はこちら

3日目:高松(屋島・牟礼・栗林公園・高松市街地)
3日目の朝は少しゆっくりと起床。2連泊した仏生山まちぐるみ旅館 縁側の客室にお別れをする前に、最寄りのうどん屋さん、野口うどんで朝食をとります。毎日食べても飽きがこないであろう、シンプルながら美味しい讃岐うどんでした。

まちぐるみ旅館は、仏生山温泉が運営する、まち全体を旅館に見立てた宿泊施設。デザイン性の高い建物も素敵なのですが、宿泊施設としての機能は絞られていて、温泉はもちろん、ごはん処などは近隣のまちなかで楽しむコンセプトです。1日目にペピン結構設計『パラダイス仏生山』でこのまちで暮らす人々のことを少しだけ知った後に、2晩だけですがこのような滞在体験ができたのは幸運なことでした。

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TOYTOYTOYという、ギャラリースペースも併設するかわいい雑貨屋さんができていたり、喫茶店跡で「高松私立おやこ小学校」という期間限定のアートプロジェクトが行われていたり(主催:高松市、企画:YORIKO)と、仏生山には近年、新しいアートスペースや活動が増えてきているようです。

続いてレンタカーに乗り込み、芸術祭作品もある、瀬戸内海を一望できる屋島へ。円錐形の瓦を投げることで開運・厄除けになるという「瓦投げ」もしっかりとしてきました。

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続いて、屋島からもほど近い牟礼のイサム・ノグチ庭園美術館へ。往復葉書での事前申し込み制で、訪問するのにもひと手間かかりますが、見学毎に丁寧に整えられた空間とノグチの彫刻が一体となった素晴らしい施設です。(館内撮影が控えられているため、写真は公式サイトでご覧ください)

昼食は高松市街地にて、この日2軒目のうどん。観光客にも人気のある手打十段うどんバカ一代をチョイスしました。野口うどんでの朝食とはうって変わり、コシが強い麺を釜バターでこってりといただくメンバーが続出。ボリュームもあり大満足。

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食後は、丹下健三の建築で知られる香川県庁舎東館を訪れてみたり、

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高松港近くの北浜alleyにあるギャラリーで中川正子さんの写真展を見たり、お洒落カフェで一服。

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そして、高松の特別名勝栗林公園で行われた芸術祭作品、指輪ホテル『讃岐の晩餐会』で1日を締めます。

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公園散策の後、羊屋白玉さん戯曲・演出のパフォーマンス。

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その後は、瀬戸内の地物を使った飲み物や食べ物が、EAT&ART TAROさん監修のもと、1品づつ提供される晩餐タイムでした。料理だけではなく、活動に携わっている方々や隣り合わせた方との会話を楽しむことのできる体験でした。(橋本)

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4日目:豊島
4日目は参加者のひとり、裴さんによるレポートです!
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朝が早い! 7:40には高松港を出発。高速フェリーで豊島に向かいます。芸術祭最終日なのでフェリーは混むことが想定されましたがメンバーが早起きして整理券を入手してくれたおかげで満員のフェリーに無事全員乗船、なんと補助席が出ました!

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家浦港に8:00過ぎには到着。起伏のある豊島の移動には電動チャリは必須のため、予約済のレンタサイクルへ。ここで愛知からOさんが無事合流。みんなで乗り方の説明を受け、最初は豊島横尾館へ。

横尾忠則の独特な世界観に目がクラクラしつつも前面鏡張りのトイレもちゃっかり利用し、トビアス・レーベルガー《あなたが愛するものは、あなたを泣かせもする》へ。お茶を大事にする一同はここで朝のオリーブ茶(しかもフリー!)を振舞われモーニングティーを満喫。

一服したところで硯地区へ移動。

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アンリ・サラの新作《豊島シーウォールハウス》に続き、森真理子《トムナフーリ》へ。
トナムフーリまでの山道は結構歩く! 辛いと思ってるとすれ違った方に「登る価値はあるわよ!」の声に励まされみんな頑張って歩いてその先に見えた作品はこれ。

うーん、水草が水面に綺麗に貼り、幻想的。夜のライトアップされた姿も良いらしいですが回りの緑とのコントラストはお昼の方が綺麗に見えるかも。生と死の現代のモニュメント、とのコンセプトからしてただ綺麗なだけではない、荘厳な雰囲気もあります。それにしても池の真ん中にどうやって作品を設置したのかとスタッフの皆様の努力に感服。

さあ、次は唐櫃岡エリアへ。電動チャリへまたがり、最初にクリスチャン・ボルタンスキー《ささやきの森》へ向かい山道を登ります。ここが一番の急所なのか起伏もあるし、道もあまり整備されてない山道なのでスピードの出しすぎに注意し、全員一緒に連なりながら向かいます。

作品は、夏期に行った知人から素晴らしく良かったと聞いていた前評判通り。風鈴が梢の間に鳴っている風景は個人的にはあの世との境目にあるような気分にさせられました。

そしてお待ちかねのお昼タイム。島キッチンでお弁当をみんなでほお張ります。豊島産の野菜と魚の揚げ物が美味しい。ちょっとアジアンテイストなのもまた嬉しい。

腹ごしらえもできたので、ここからは各自フリータイムです。檸檬ホテルへ向かうメンバーもあれば、豊島美術館付近の棚田に向かうメンバーもあり、各自豊島の各所へ散っていきました。棚田方面に向かったメンバーはこれまで上がってきた分、下り坂を軽快に降りていくと目の前に広がるこの風景。今回の旅で一番印象的な景色でした。

豊島美術館も寄ろうと思ってましたが、芸術祭秋会期の最終日、さすがに人が多い。ということで次回の豊島訪問の楽しみに外観だけパチリ。いつか静謐な豊島美術館を訪れる日を楽しみに。

山を降りつつ甲生エリアへ向かいます。途中登り坂があったらどうしようとドキドキしつつ、その心配は杞憂に終わり、甲生エリアへ到着。スプツニ子!《豊島八百万ラボ》へ。遺伝子組み換え蚕がつむぐ「運命の赤い糸」の映像作品を観て、このタイミングで豊島のこの場所で映像作品を観るのも面白いなと感じました。

そして塩田千春《遠い記憶》、ケグ・デ・スーザの《豊穣:海のフルーツ / 豊穣…》に続き、山の上のある《Big Bamb&uacut…》を遠目で観つつ、家浦地区の大竹新朗《針工場》を観た後はメンバー集合を兼ね、恒例のおやつタイム! あー! 疲れた身体に染み渡るいちごパフェ。

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この後、家浦地区で全員合流してレンタサイクルを返却。シャトルバスで豊島で一番高い壇山の頂上へ。Nadegata Instant Party 《Well, come on stage!》の秋会期舞台公演『てしましましま、あしがらがらがら』を観劇します。

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下山後は、レンタカーで豊島の宿「檸檬ホテル」へ。お昼は作品展示しているのですが夜は宿泊もできる檸檬ホテルは築90年の古民家を改築したアート作品。

宿泊者が利用するバスルームも作品の一部、外から見えちゃう? という心配は無用。夜は人通りもほとんどないですし、シャワーカーテンがあるので意外と見えないのです。そして美味しい檸檬を使ったディナーと檸檬がふんだんに入った飲み物を楽しみつつ、アートのこと、仕事のこと、あれこれ話しながら、豊島の夜は更けていきました。

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最後におまけ。メンバーHさんの檸檬ホテル日記帳のイラスト

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5日目:豊島
檸檬ホテルで気持ち良く目を覚ますと、芸術祭は会期明け。
檸檬風味の鯛そうめんの朝食をいただき、最後の記念撮影です。

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仕事のため早々に福岡へ帰るIさんを家浦港から見送り、アートで盛り上がる豊島の負の側面である豊島産業廃棄物不法投棄事件の現場見学後、美術家の安岐理加さんが運営するてしまのまどを訪れ昼食と展覧会〈その島のこと〉を見てツアーは無事終了となりました(さらに時間のあったメンバーは豊島美術館を訪問)。

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毎年恒例となってきたの芸術祭ツアー。普段から正会員として活動を共にするメンバーだけでなく、普段は異なる仕事をしているものの、活動に共感いただき賛助会員として参画いただいている方などと行動を共にすることで、それぞれの視点による地域やアートへの興味を知ることができたり、知見や感動を共有することができたりと多層に楽しむことができます。本年も企画予定ですので、ご興味のある方はメールニュース登録などをいただき、情報をお待ちください。(橋本)

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今回コーディネートをさせていただいた橋本としては、岡山に実家があるということもあり、個人的に芸術祭やベネッセアートサイト直島の動きも追ってきましたが、改めていま、多くの方々が瀬戸内のアートをどのように体験しているのかという部分を確認できたような気がしています。

特に最後に訪れた豊島は今回、芸術祭の会期に合わせて公開された新作もありましたが、多くが通年公開されていて、直島や犬島などと共に会期外も鑑賞可能なのは知られている通り。豊島と直島の2島は、外国人来訪者割合が非常に多いことを関係者から聞いていた数字だけでなく、肌感として実感できました。

豊島美術館という世界的に通用する建築&アートの動きがさらに加速していて、豊島は直島が20年かけたところを第1回、2回の芸術祭をはさんだ6年できている印象です。たくさんの人が訪れるだけではなく、お金が落ちるカフェや食事処、宿泊などを手がける移住者も出てきていて、そういった方々とつながるコミュニティのなかでまた、小さいながら自立的なアート活動が島内外(宇野港など)で生まれてきたりしているのも面白い点です。

そんななかで行われた今回の芸術祭では、島内外の様々な人が居合わせ、本人たち曰く島外の人には分からない「コード」もしのばせた舞台作品にNadegata Instant Partyがアートプロジェクトとして取り組んだというのも、特筆すべきことだったと思います。同じアートの島とされながら、直島とはかなり異なる近代を歩んできた豊島ならではの事情を取り扱うことにも踏み込もうとした作品だったのでしょう。

「てしまのまど」で開催されていた展覧会〈その島のこと〉でも、藤井光が産業廃棄物不法投棄事件現場などを写した映像作品を発表していました。

「アートの島」の副産物のように生まれてきた新しい場やコミュニティのなかで、このような興味深い活動が生まれていることにも、注目していければと思います。

芸術祭ツアー2016:〈瀬戸内国際芸術祭〉ほか
日程:2016年11月3日~7日
訪問地:高松(市街地、仏生山、屋島、牟礼、栗林公園)、粟島、高見島、本島、吹上、豊島)
企画:橋本誠